空飛ぶクルマの企業は4つの分野に分かれる
空飛ぶクルマは、機体を作るだけでは飛びません。安全に運航する会社、離着陸する場所、それを認める制度と受け入れる地域が揃って、初めてサービスになります。そこでこの記事では、日本で取り組む会社を4つの分野に分けて説明します。
書いてあるのは、各社の公式発表や国・自治体の資料で確かめた取り組みだけです(確認日は2026年11月3日)。会社の良し悪しや順位づけはしていません。出資している会社や、一度の調査だけで関わった会社まですべてを並べた一覧でもありません。「日本の空飛ぶクルマの全企業」ではなく、公式の資料で仕事の中身を確かめられた範囲だと考えてください。
| 分野 | 会社・組織 | 確かめた取り組み(要約) | 使う予定の機体 | 採用の窓口 |
|---|---|---|---|---|
| 機体の開発 | SkyDrive | 3人乗りの機体を開発。2028年の商用化を目指す | SKYDRIVE(SD-05型) | SkyDrive 採用情報 |
| 機体の開発 | テトラ・アビエーション | 福島県南相馬市に本社。Mk-5 の有人飛行試験に成功(2023年) | Mk-5 | Open jobs |
| 機体の開発 | 本田技研工業 | ガスタービン・ハイブリッドの eVTOL を研究開発 | Honda eVTOL | 募集職種一覧 |
| 機体の開発 | トヨタ自動車 | Joby に出資し協業。生産の合弁会社の設立に合意(2026年) | Joby の機体 | 募集職種一覧 |
| 運航 | Soracle | JAL と住友商事の合弁の運航会社。大阪ベイエリアでの商用運航を目指す | Archer Midnight | 公式の採用ページは未確認 |
| 運航 | 日本航空(JAL) | Soracle の株主。東京都のプロジェクトでコンソーシアムの代表 | Archer Midnight | JAL キャリア採用 |
| 運航 | ANA ホールディングス | Joby と合弁会社設立の本格検討で基本合意(2025年) | Joby S4 | ANA グループ 採用情報 |
| 運航 | AirX | ヘリコプターの予約・運航連携・ポート開拓。eVTOL の就航を見据える | 確かめられなかった | AirX 採用情報 |
| 離着陸場 | Osaka Metro | 大阪港バーティポートを整備・管理 | (SkyDrive、Soracle と連携) | Osaka Metro 採用情報 |
| 離着陸場 | 野村不動産 | 東京都のプロジェクトでグループの代表。離着陸場の候補地の検討など | Joby S4、SKYDRIVE | 野村不動産キャリア採用 |
| 国 | 国土交通省・経済産業省 | 官民協議会を運営し、制度とロードマップを作る | - | 各省の採用ページ(この記事では確かめていない) |
| 自治体 | 東京都・大阪府・三重県ほか | 実装プロジェクト、補助金、研究会 | - | 各自治体の職員採用(この記事では確かめていない) |
親会社の採用窓口がある会社でも、そこに空飛ぶクルマの仕事の募集があるとは限りません。窓口は「応募先の入口」として載せたもので、eVTOL の仕事を募集中という意味ではありません。eVTOL の仕事の募集を確かめられた会社は、次の表のとおりです。
4つの分野はどうつながっているか
会社の一覧を読む前に、商用運航までに何が揃う必要があるかを押さえておくと、各社の発表の意味がわかりやすくなります。東京都の発表や国の運用概念に出てくる言葉を、順番に並べると次のようになります。
| 揃えるもの | 内容 | 主に担う側 | 関わる仕事の例 |
|---|---|---|---|
| 機体の型式証明(TC) | 機体が安全基準と環境基準に適合していることの証明 | 機体メーカー | 設計、試験、認証、品質 |
| 機体の生産 | 認証された設計どおりに作る体制 | 機体メーカーと協業先 | 製造、検査、生産技術、調達 |
| 航空運送事業の許可(AOC) | 他人の需要に応じて有償で人や物を運ぶための許可と、規程類の認可 | 運航会社 | 運航管理、安全、規程の作成 |
| 操縦士と整備士 | 型式ごとの資格と訓練の仕組み | 運航会社とメーカー | 操縦、整備、訓練の開発 |
| 離着陸場 | 既存のヘリポートなどの活用と、専用の離着陸場の整備 | 鉄道、不動産、自治体など | 用地開発、施設の運営、設備管理 |
| 地域の理解と空域 | 社会受容性の向上と、飛行ルートや交通管理の調整 | 国、自治体、運航会社 | 自治体との調整、広報、システム開発 |
この順番から、いま何の仕事が多いのかも見えてきます。商用運航の前の今は、機体の設計・試験・認証と、運航の準備の仕事が中心です。掲載中の求人を見る限り、乗客を乗せて飛ぶ操縦士や、定期便の機体を日々整備する現場の募集は確かめられませんでした。将来の採用の規模について公式の見通しは確かめられなかったので、この記事では予想を書きません。
求人を確かめられた会社
当サイトでは、各社の公式の採用ページから求人を取得して掲載しています。2026年11月5日時点で掲載中の求人は5社・100件です。会社の名前を押すと、その会社の説明と求人の一覧に移ります。
| 会社 | 主な役割 | 掲載中 | 公表された年収の幅 |
|---|---|---|---|
| SkyDrive | 機体の開発・製造(国産のマルチローター機) | 66件 | 430万円〜2,000万円(58件) |
| AirX | 運航・予約サービス(いまはヘリコプターとビジネスジェット) | 13件 | 370万円〜1,200万円(10件) |
| Honda | 機体の研究開発(ガスタービン・ハイブリッド) | 12件 | 公表なし |
| テトラ・アビエーション | 機体の開発(スタートアップ) | 5件 | 480万円〜1,200万円(4件) |
| トヨタ自動車 | 機体の開発協業(Joby と協業) | 4件 | 500万円〜1,570万円(1件) |
2026年11月5日時点で空飛ぶクルマジョブに掲載中の求人の集計(各社の公式の採用ページから取得)。業界全体の統計ではありません。年収は募集要項の想定の幅で、固定残業代を含む場合があります。
件数の差は、公式のページの作りにも左右されます。Honda は eVTOL と題名に入っている募集だけ、トヨタ自動車は募集名に「空のモビリティ」か「eVTOL」と入っている募集だけを数えています。AirX の求人の多くは、いまのヘリコプターやビジネスジェットの事業の仕事です。これらは掲載中の求人だけの数字で、業界全体の統計ではなく、会社の大きさや成長を比べる数字でもありません。職種ごとの内訳は空飛ぶクルマの仕事と職種で説明しています。
空飛ぶクルマの求人をチェック
求人一覧を見る機体を開発する会社
機体を作る会社の仕事の中心は、設計、試験、そして国に安全性を認めてもらう型式証明の取得です。型式証明とは、航空機が安全基準と環境基準に適合していることを国が証明するものです。電動・垂直離着陸という新しい形の機体なので、審査の進み具合が各社の大きな節目になります。
SkyDrive
2018年7月に設立され、愛知県豊田市に本社を置く会社です。事業内容は空飛ぶクルマの開発・製造・販売・運航サービス等です。開発しているマルチローター型の機体 SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)は、操縦士1名と乗客2名の3人乗りで、航続距離15〜40km、最大巡航速度100km/h と公表しています。
2025年の大阪・関西万博でデモフライトを行いました。公式に確かめた最近の動きは次のとおりです。
- 2026年4月: 国土交通省航空局から「航空機設計検査認定事業場(ADO)」の認定を受けたと発表。空飛ぶクルマの設計と検査の能力についての認定で、日本の空飛ぶクルマ開発企業では初めてとしています(発表資料)。
- 2026年6月: 実用速度域の時速100kmでの前進飛行試験を行い、2028年の商用化に向けて開発を進めていると発表(発表)。
- 2026年7月: 2024年11月の初飛行試験の開始から約1年半で、累計300フライトを事故なく実施したと発表(発表)。
型式証明については、日本の国土交通省航空局と米国 FAA に同時に取り組んでいると FAQ で説明しています。拠点は豊田の本社・開発センター・テストフィールド、名古屋空港オフィス、東京と大阪のオフィス、山口の飛行試験場で、子会社に静岡県磐田市の Sky Works などがあります。出資企業の一覧には、鉄道、電力、金融、保険などさまざまな業種の会社が並んでいます。
採用: 公式のSkyDrive 採用情報に職種の案内があり、掲載中の求人は66件です。年収の公表値はSkyDrive の求人と年収で集計しています。
テトラ・アビエーション
2018年6月に設立された、新型航空機の研究開発・製造・販売の会社です。本社は福島県南相馬市で、埼玉県戸田市の美女木工場と、福島ロボットテストフィールドに拠点があります。公式の沿革によると、2020年にボーイング社が後援する開発コンテスト GoFly で Pratt and Whitney Disruptor Prize を受賞し、2021年に販売モデル Mk-5 のコンセプトを発表、2023年3月に Mk-5 での有人飛行試験に成功しました。
採用: 公式のOpen jobsにアビオニクス、ロボティクス、構造、パワーエレクトロニクスのエンジニアとインターン・アルバイトの募集が載っています(掲載中5件)。応募は公式ページに書かれたメールアドレスに、希望の職種と履歴書などを送る形です。正社員・アルバイトなど様々な形態での勤務が可能と書かれています。
本田技研工業(Honda)
Honda は eVTOL の研究開発を公式の技術解説で説明しています。特徴はガスタービン・ハイブリッドのパワーユニットで、電池だけで飛ぶ機体が100km前後の航続距離で都市近郊のタクシー用途を想定しているのに対し、都市間の移動までカバーする400kmの航続距離を確保するとしています。垂直離着陸用に8つ、推進用に2つのローターを備える構成です(数値は Honda の公表値)。
説明の中で、HondaJet の知見や F1 のパワーユニット技術、ハイブリッド車の技術を生かすとしているのが、この会社らしいところです。時期について、Honda の R&D のページは2030年代の FAA 型式証明の取得を目指すと書いています。
採用: 公式の募集職種一覧に、題名に eVTOL と入った募集があります(掲載中12件)。ガスタービン・ハイブリッドのシステム設計、機械、高圧電装、制御、テスト、航空法規認証、飛行安全、空力性能、自律飛行の要素技術など、募集が細かく分かれています。当サイトには題名だけを載せているので、仕事の内容と年収は公式の一覧で募集番号を探して読んでください。
トヨタ自動車と Joby Aviation
トヨタ自動車は、米国の eVTOL 開発会社 Joby Aviation と2020年1月に開発・生産での協業を発表しました。2024年10月には5億ドルの追加出資に合意し、累計の投資額は8.94億ドルになると発表しています(発表)。
2026年6月30日には、Joby が開発する eVTOL の生産を担う合弁会社の設立に合意したと発表しました。社名は Joby Toyota Aero Manufacturing Preparation Company、所在地は米国カリフォルニア州で、出資比率はトヨタ51%、Joby 49%です。認証審査に使う機体の試作や生産の準備、生産能力の増強を進めるとしています(発表)。この合弁会社の所在地は米国なので、日本国内での採用があるかどうかは発表からは読み取れません。
採用: 公式の募集職種一覧に、募集名に「空のモビリティ」や「eVTOL」と入った募集があります(掲載中4件)。募集要項は、職場は航空機の開発や整備の経験者と自動車開発の経験者が混ざった組織だと説明しています。勤務地は名古屋市と豊田市です。
海外の機体メーカーと日本の関わり
日本で飛ぶ機体は国産だけではありません。東京都のプロジェクトでは Archer の Midnight と Joby の S4 が使用予定の機体に挙がっています。Soracle の発表によると、Archer の Midnight(定員5名)は2026年8月21日に国土交通省航空局に型式証明の申請が受理されました(Soracle の発表)。Soracle はこの機体の最大100機の購入権を取得しているとしています。
これらの海外メーカーが日本で直接採用しているかどうかは、この記事では確かめていません。日本の仕事を探すなら、まず日本の運航会社や協業先の窓口を見るのが現実的です。
機体の違いが仕事に関わる理由
公式に確かめられた機体の情報を並べます。性能の優劣を比べるためではなく、機体の考え方が違うことを知るための表です。空欄は、この記事で確かめた公式のページに数字が見当たらなかったものです。
| 機体 | 開発する会社 | 形式・動力 | 定員 | 航続距離 |
|---|---|---|---|---|
| SKYDRIVE(SD-05型) | SkyDrive | マルチローター型の電動。12基の電動プロペラ | 3人(操縦士1名、乗客2名) | 15〜40km |
| Midnight | Archer Aviation(米国) | eVTOL | 5人(操縦士1名、乗客4名) | 160km |
| Joby S4 | Joby Aviation(米国) | 6基の電動モーターでプロペラを駆動 | 5名(操縦士を含む) | 160km(ANA ホールディングスの資料) |
| Honda eVTOL | 本田技研工業 | ガスタービン・ハイブリッド。垂直離着陸用8、推進用2のローター | 400km を想定(Honda の公表値) | |
| Mk-5 | テトラ・アビエーション |
働く人にとって機体の違いが重要なのは、国の方針で操縦士も整備士も当面は機体の型式ごとの資格になるからです。ある機体の資格や整備の経験が、そのまま別の機体に使えるとは限りません。また、ガスタービンを使う Honda の求人にはガスタービンやハイブリッドの専門の募集があり、電池で飛ぶ機体の会社の求人とは必要な専門が異なります。応募先を考えるときは、その会社がどの機体を使うのかも確かめてください。
運航を準備する会社
運航会社は、機体と操縦者を用意して飛ばす会社です。国の運用概念(ConOps)によると、運航者は航空運送事業の許可などを持ち、運航の安全確保、操縦者の訓練、機体の整備体制、乗客の保安検査と搭乗手続きに責任を負います。商用運航の前の今は、許可の取得や拠点の確保を進めている段階です。
Soracle(ソラクル)
JAL と住友商事の合弁で2024年6月に設立された eVTOL の航空運送事業の会社です(事業の許可は取得予定)。本社は東京都中央区にあります。公式に確かめた動きは次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2024年11月 | Archer と戦略的関係の構築に向けた基本合意書を締結 |
| 2025年 | 大阪・関西万博で Midnight の実機サイズ・モデル機を展示。8日間で5,500名以上が来場 |
| 2025年9月 | 大阪府・大阪市と「空飛ぶクルマのビジネス化の推進に向けた連携協定」を締結 |
| 2026年3月7日 | Osaka Metro と基本合意。大阪港バーティポートを将来の運航拠点として活用 |
| 2026年3月16日 | 小川航空と賃貸借契約。大阪ヘリポートの格納庫などを整備基地に活用 |
| 2026年8月21日 | 協業相手の Archer の Midnight の型式証明申請が国土交通省に受理されたと発表 |
時期については、公式のページによって書き方が違います。事業紹介のページは「2027年の商用運航開始を目指して準備」、2026年8月の発表の会社概要は「機体の開発状況や型式証明の取得状況を見極めつつ2028年度以降の空飛ぶクルマの社会実装をめざしています」としています。新しい発表を優先して読むのがよいでしょう。
採用: 公式サイトの主な案内に採用ページの入口はなく、公式の採用ページは確かめられませんでした。発表では整備部長の役職も出てきており、組織は作られていますが、募集の窓口は不明です。
日本航空(JAL)
JAL は Soracle の株主で、採用サイトで空飛ぶクルマとドローンの取り組みを説明しています。社内にエアモビリティ創造部があり、空飛ぶクルマのほか、奄美でのドローン事業や、低高度の空域を支える運航プラットフォーム(AMOP)のプロジェクトを紹介しています(JAL の採用サイト)。東京都の実装プロジェクトでは、JAL を代表事業者とするコンソーシアムが採択されました。
採用: 公式のJAL キャリア採用があります。プロジェクトのメンバーとして2024年キャリア入社の社員が紹介されていますが、eVTOL の仕事に絞った募集要項は確かめられませんでした。
ANA ホールディングス
ANA ホールディングスは2025年8月に、Joby と日本でのエアタクシーサービスに向けた合弁会社設立の本格検討を始めることで基本合意したと発表しました。将来的に100機以上の導入と、首都圏をはじめとした日本全国への展開を目指すとしています。離着陸場の開発、パイロットの訓練、航空機の整備の支援を含むエコシステムの構築を加速するとも書いています(発表)。万博では2025年10月にデモフライトを一般公開しました。
合弁会社の設立が完了したかどうかは、確かめた範囲の公式発表では読み取れませんでした。東京都のプロジェクトでは、野村不動産を代表とするグループに参加しています。
採用: 公式のANA グループ 採用情報があります。eVTOL の仕事に絞った募集は確かめられませんでした。
AirX
2015年創業の会社で、ヘリコプターの予約、集客、機体供給、運航会社との連携、ポートの開拓を一貫して手がけています。公式の採用ページによると、年間搭乗者数は13,000人(11月発表時点)、2025年10月時点の累計利用者数は約50,000人です。大阪府の運航ルート事業環境調査事業や、長野県の次世代空モビリティ活用事業にも参画し、空飛ぶクルマの事業化を進めているとしています。
採用: 公式のAirX 採用情報から HERP の採用ページに進みます(掲載中13件)。選考は応募、書類選考・面談、面接、オファーの順で、FAQ では航空業界の経験がなくても応募できると答えています。掲載中の求人の多くは、いまのヘリコプターやビジネスジェットの事業の仕事です。eVTOL に直接関わる仕事かどうかは、募集要項で確かめてください。
そのほか運航に関わる会社
次の会社は、国や自治体、会社の公式発表に名前が出ていることを確かめました。どこまで事業として取り組むかは、発表の範囲でしか確かめていません。
| 会社 | 確かめた関わり | 出典 |
|---|---|---|
| 丸紅、丸紅エアロスペース | 大阪府の令和7年度の補助金で、デモ飛行と体験飛行による事業化検証、実機を用いたシミュレーション検証が採択 | 大阪府 |
| エアロトヨタ | 東京都のプロジェクトで野村不動産を代表とするグループの一員 | ANA ホールディングス、野村不動産 |
| 朝日航洋 | 東京ベイ eSG プロジェクトで空飛ぶクルマ用の浮体式ポートの実証に参加 | ANA ホールディングス |
| 小川航空 | 大阪ヘリポートの格納庫などを Soracle に賃貸 | Soracle |
これらの会社については、公式の採用ページを確かめていません。
離着陸場(バーティポート)に関わる会社
バーティポートとは、空飛ぶクルマの離着陸場のことです。国の運用概念は、運営者の仕事として、施設の維持管理、ターミナルの運営、地上の安全と出入りの管理、充電の監督などを挙げています。鉄道、不動産、建設の会社が関わっているのは、まちづくりや既存の交通とつなぐ必要があるためです。
Osaka Metro
大阪の地下鉄を運営する Osaka Metro(大阪市高速電気軌道)は、大阪市港区に「大阪港バーティポート」を整備し、2025年3月28日に完成したと発表しました。面積は約12,000平方メートルで、格納庫、離着陸面、旅客施設があり、オンデマンドバスやシェアサイクルと結ぶ機能も備えています(発表)。
同社は空飛ぶクルマを新たな空の移動手段と位置づけ、2024年8月に SkyDrive と業務提携しました。2026年3月には Soracle と基本合意書を結び、同社が整備・管理するこのバーティポートを Soracle が将来の運航拠点として活用する、と発表しています(発表)。大阪府の令和7年度の補助金でも、万博後の大阪エリアでの社会実装に向けた環境調査が採択されています。
採用: 公式のOsaka Metro 採用情報があります。バーティポートの仕事に絞った募集は確かめられませんでした。
野村不動産とそのグループ
野村不動産は、東京都の「空飛ぶクルマ実装プロジェクト(Ⅰ期)」で採択されたグループの代表事業者です。グループは野村不動産、ANA ホールディングス、SkyDrive、東日本旅客鉄道、エアロトヨタ、西武ホールディングス、日建設計で、協力事業者が Joby です。離着陸場の候補地の検討と整備、モックアップ展示などの社会受容性の向上、2028年度以降の市街地での事業化を見据えた候補地の選定を進めるとしています。臨海部エリアや河川上エリアで、2026年度中に実証飛行、2027年度中にプレ社会実装を目指すとしています(発表)。
2023年には ANA ホールディングス、Joby と国内の離着陸場開発の共同検討の覚書を結び、東京ベイ eSG プロジェクトでは清水建設、ANA ホールディングス、朝日航洋などと浮体式ポートの実証を提案して採択されています。
採用: 公式の野村不動産キャリア採用があります。空飛ぶクルマの仕事に絞った募集は確かめられませんでした。
そのほかの会社
| 会社 | 確かめた関わり | 出典 |
|---|---|---|
| 東日本旅客鉄道、西武ホールディングス、日建設計 | 東京都のプロジェクトで野村不動産を代表とするグループの一員 | ANA ホールディングス、野村不動産 |
| 清水建設、Kidou Systems、エイトノット、東京ウォータータクシー | 東京ベイ eSG プロジェクトの浮体式ポートと陸海空の移動サービスの実証 | ANA ホールディングス |
| 近鉄グループホールディングス、中部電力 | 三重県の補助事業で志摩市エリアの離着陸場の設置検討調査 | 三重県 |
| 日本電気、三重故郷創生プロジェクト | 三重県の補助事業で低高度空域の監視システムの検証 | 三重県 |
これらは国や自治体の事業の中で名前を確かめたもので、いずれも空飛ぶクルマの専任の部署や募集があることを示すものではありません。公式の採用ページはこの記事では確かめていません。
国と自治体の動き
国や自治体は、制度を作り、地域に呼び込む側です。仕事の相手として知っておくと、求人の背景が読みやすくなります。
国土交通省・経済産業省
2018年に経済産業省と国土交通省が「空の移動革命に向けた官民協議会」を設けました。2026年3月27日には第12回を開き、ロードマップと運用概念(ConOps)第2版を公表しています。ロードマップは2020年代後半に一部地域で商用運航を開始し、2030年代前半に導入地域を広げ、2030年代後半に日常の移動手段として定着するという見通しを描いています。ConOps は、2027/2028年度の商用運航開始に向けて基準の検討を進めていると書いています。国土交通省の航空局には空飛ぶクルマ企画室があります。
これは官民協議会の見通しで、確定した運航の日程ではありません。詳しくは空飛ぶクルマはいつ実用化されるかをご覧ください。操縦士や整備士の制度はパイロットと免許の記事で説明しています。
東京都
東京都は2025年10月23日に、「空飛ぶクルマ実装プロジェクト」1期(2025〜2027年)の実施事業者として2者を決定しました。2030年の市街地での商用運航の実現を目指すとしています(報道発表)。
| 代表事業者 | 使用予定の機体(写真はイメージ、変更の場合あり) |
|---|---|
| 日本航空を代表とするコンソーシアム | Archer「Midnight」 |
| 野村不動産を代表とするコンソーシアム | Joby「Joby S4」、SkyDrive「SKYDRIVE(SD-05型)」 |
都は経済的な支援と関係者の調整の支援を行うとしています。別に、2026年2月には東京ビッグサイトで SkyDrive の機体による飛行実証を公開し、都内で初めての国産機による遠隔操縦のデモフライトだと説明しています。旅客ターミナルの顔認証チェックインや保安検査の流れも検証しました(報道発表)。
大阪府・大阪市
大阪府は「空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業補助金」で事業者の取り組みを支援しています。令和7年度は4件・総額1億575万円の交付を決めました。採択の代表事業者は Soracle、Osaka Metro、丸紅エアロスペース、丸紅です(報道提供)。大阪府・大阪市は2025年9月に Soracle と連携協定を結びました。また、2024年1月に大阪市が万博の会場外の離着陸場の事業者を公募し、Osaka Metro が選ばれています。
三重県とその他の地域
三重県は、観光、離島・過疎地域、産業・災害を活用の柱に掲げ、将来的な運航ルートの検討や受け入れ環境の整備、実証実験の誘致に取り組んでいます。令和6年度には「みえ空モビリティ地域実装研究会」を立ち上げ、将来の商用運航に向けた調査への補助も行いました。令和8年度の補助金の採択結果も公表しています(三重県)。
福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールドは、国のロードマップで試験飛行の拠点として挙げられ、テトラ・アビエーションも拠点を置いています。長野県の活用事業については、AirX の採用ページに参画の記載があります。ほかの自治体の動きは、この記事では確かめた範囲に絞っています。
地域ごとの会社の組み合わせ
空飛ぶクルマの事業は1社では進みません。公式の発表から、地域ごとにどの会社が組んでいるかを整理すると、次のようになります。「大阪で働きたい」「東京で働きたい」と考える人は、地域から見ると関わる会社が見つけやすくなります。
| 地域 | 機体 | 運航・事業 | 離着陸場・拠点 | 自治体の関わり |
|---|---|---|---|---|
| 大阪ベイエリア | Archer Midnight(Soracle の最有力機材) | Soracle | 大阪港バーティポート(Osaka Metro)を運航拠点、大阪ヘリポート(小川航空の格納庫など)を整備基地 | 大阪府・大阪市の連携協定、大阪府の補助金 |
| 東京の臨海部・河川上(JAL のコンソーシアム) | Archer Midnight | 日本航空が代表 | 都の発表では、具体的な内容と場所は確定後に知らせるとしている | 東京都の実装プロジェクト1期 |
| 東京の臨海部・河川上(野村不動産のグループ) | Joby S4、SKYDRIVE | ANA ホールディングス、SkyDrive、エアロトヨタなど | 野村不動産、東日本旅客鉄道、西武ホールディングス、日建設計が参加 | 東京都の実装プロジェクト1期 |
| 三重県の志摩市エリアなど | 確かめられなかった | みえ空モビリティ地域実装研究会の参画事業者 | 近鉄グループホールディングスと中部電力が設置検討調査 | 三重県の研究会と補助金 |
Soracle と Osaka Metro の基本合意には、大阪港バーティポートを拠点とした商用運航の開始に向けた共同推進、必要な施設と設備の設置の検討、認知拡大のためのイベントの共同開催、デモフライトの実施の検討が含まれています。こうした合意の内容を読むと、現場で必要になる仕事の種類を想像しやすくなります。Soracle は事業紹介のページで、段階ごとの計画も公表しています。
| 段階(Soracle の公表) | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| Phase1 準備・市場参入期 | 2025〜2027 | 認知向上、有人試験飛行、機体の型式証明と事業の許可の取得後に運航 |
| Phase2 市場形成期 | 2027〜2029 | 地域ネットワークモデルの形成、デベロッパーや自治体と連携した離着陸場の整備構想 |
| Phase3 市場成長期 | 2029〜2030 | 地域ネットワークモデルの拡充、運航頻度の増加と運賃の低減 |
| Phase4 さらなる拡大 | 2031〜 | 無操縦者機の段階的な導入、無人の都市間エアタクシー |
この表は Soracle の事業紹介のページに載っている計画です。同社は2026年8月10日のお知らせで、商用運航の開始を2028年度以降へ遅らせると発表したので、表の時期より後ろにずれています。
各社が示す時期を並べる
会社を選ぶときに気になるのが、いつ事業が本格的に始まるかです。公式の発表で確かめた目標を並べます。どれも発表時点の目標で、実現を保証するものではありません。また、数字の比べやすさのために並べたもので、どの会社が先行しているかの順位ではありません。
| 発表元 | 書かれている時期 | 資料の日付 |
|---|---|---|
| 官民協議会 ロードマップ | 2020年代後半に一部地域で商用運航を開始 | 2026年3月 |
| 国土交通省 ConOps | 2027/2028年度の商用運航開始(基準の検討の前提として) | 2026年3月 |
| SkyDrive | 2028年の商用化 | 2026年6月・7月 |
| Soracle | 2028年度以降の社会実装(事業紹介のページは2027年の商用運航開始) | 2026年8月 |
| 東京都 | 2030年の市街地での商用運航の実現 | 2025年10月 |
| 野村不動産グループ | 2026年度中に実証飛行、2027年度中にプレ社会実装、2028年度以降の市街地での事業化を見据える | 2025年11月 |
ANA ホールディングスと Joby の発表(2025年8月)に、サービス開始の年の記載は確かめられませんでした。Honda は R&D のページで2030年代の FAA 型式証明の取得を目指すと書いています。
公式の採用ページに書かれていること
採用の窓口がある会社について、公式のページから読み取れる応募の方法を並べます。選考の中身は変わることがあるので、応募の前に必ず公式のページで確かめてください。
| 会社 | 職種の分け方・募集の形 | 応募の方法・選考 |
|---|---|---|
| SkyDrive | エンジニア、事業開発・営業、運航・カスタマーサポート、コーポレートの4つ | 書類選考、面接3〜4回、内定。面接は基本的にオンライン |
| AirX | ビジネス・事業開発、マーケティング、カスタマーサポート、エンジニア・プロダクト、コーポレート、運航・航空専門職、現場運営、インターン・現場クルー | HERP から応募、書類選考・面談、面接、オファー。一次選考はオンラインが中心 |
| テトラ・アビエーション | アビオニクス、ロボティクス、構造、パワーエレクトロニクス、インターン・アルバイト | メールで希望の職種、履歴書と職務経歴書、ポートフォリオか GitHub を送る |
| 本田技研工業、トヨタ自動車 | 中途採用の募集職種の一覧の中に eVTOL や空のモビリティの募集がある | 公式の一覧の募集要項から応募 |
AirX の FAQ は、オフィス職の勤務地は基本的に東京で、整備士などの航空専門職はヘリポートや格納庫で勤務する場合があり、エンジニアにはフルリモートのメンバーもいると説明しています。テトラ・アビエーションのページは、ポートフォリオに自分で開発した制作物や携わったプロジェクトの説明を書くよう求めています。少数のチームで自ら課題を見つけて解決する文化だと説明しており、応募の書類で見られる点がエンジニアの実績に寄っていることがうかがえます。
働きたい仕事から会社を探す
会社の名前から探すより、やりたい仕事から探すほうが早いことがあります。掲載中の求人と公式発表から、仕事と会社の関係を整理します。
| やりたい仕事 | 今読める入口 | 注意点 |
|---|---|---|
| 機体の設計・解析 | SkyDrive、テトラ・アビエーション、Honda、トヨタ自動車 | 専門が細かく分かれている。規格の知識を求める求人もある |
| 型式証明・品質 | SkyDrive、Honda、トヨタ自動車 | 航空機の認証や品質保証の経験を求める求人が多い |
| 機体の製造 | SkyDrive(静岡県磐田市の求人あり) | 航空機の製造経験を必須とする求人と、製造業の経験でよい求人がある |
| 運航の準備 | SkyDrive、AirX | Soracle の募集の窓口は確かめられなかった |
| パイロット | SkyDrive のテストパイロット | 乗客を乗せる eVTOL の操縦士の募集は確かめられなかった |
| 整備 | SkyDrive、AirX(将来の eVTOL 整備も想定) | 航空整備士の資格が条件の求人がある |
| 営業・事業開発 | SkyDrive、AirX | AirX はいまの商材がヘリコプターなど |
| 離着陸場の開発 | SkyDrive のインフラ担当、AirX のポート用地開発 | Osaka Metro や野村不動産は全社の採用窓口から |
当サイトの求人一覧では職種・勤務地・会社で絞り込めます。掲載中の求人は状況によって変わるので、最新の条件は各社の公式ページで確かめてください。
会社を調べるときの注意点
- 記事の日付を見る。この業界は動きが速く、数年前の一覧記事では、会社の役割や計画が変わっていることがあります。たとえば Soracle の設立は2024年、トヨタと Joby の生産の合弁会社の合意は2026年です。
- 「検討」「基本合意」「決定」を区別する。基本合意は枠組みの合意で、事業の開始が確定したという意味ではありません。ANA ホールディングスと Joby の発表も「合弁会社設立の本格検討の開始」です。
- 親会社と事業会社を区別する。Soracle と JAL、Sky Works と SkyDrive のように、募集の窓口が別の場合があります。
- 今の事業と将来の事業を区別する。AirX のように今はヘリコプターの事業が中心の会社では、配属される仕事を確かめてください。
出典
確認日はすべて2026年11月3日です。
- SkyDrive 会社概要、FAQ、採用情報、時速100kmの飛行(2026年6月24日)、累計300フライト(2026年7月2日)、ADO の認定(2026年4月20日。本文にリンク)
- テトラ・アビエーション 会社情報、Careers、Open jobs
- Honda eVTOL 技術解説、本田技研工業 募集職種一覧
- ANA ホールディングス 決算説明資料(2025年10月30日・Joby S4 の定員と航続距離)、Honda R&D eVTOL、Soracle 商用運航開始時期に関するお知らせ(2026年8月10日)
- トヨタ自動車 Joby との生産の合弁会社(2026年6月30日)、追加出資(2024年10月)、空のモビリティの募集要項
- トヨタ自動車 空のモビリティ Joby S4、SkyDrive 機体の説明
- Soracle 事業紹介、Midnight の型式証明申請(2026年8月21日)、大阪ヘリポート(2026年3月16日)、大阪府・市との連携協定(2025年9月10日)
- JAL 次世代エアモビリティ、キャリア採用
- ANA ホールディングス Joby との合弁会社の検討(2025年8月5日)、東京都のプロジェクトの採択(2025年11月10日)、離着陸場の共同検討(2023年12月8日)、東京ベイ eSG(2023年10月30日)、採用情報
- AirX 採用情報
- Osaka Metro 大阪港バーティポートの完成(2025年3月28日)、Soracle との基本合意(2026年3月7日)、採用情報
- 野村不動産 東京都のプロジェクトの採択、キャリア採用
- 国土交通省 空の移動革命に向けた官民協議会、ConOps 第2版、ロードマップ(2026年3月27日)
- 東京都 実装プロジェクト1期の実施事業者(2025年10月23日)、東京ビッグサイトの飛行実証(2026年2月)、東京都の空飛ぶクルマの取組
- 大阪府 令和7年度 補助金の交付決定
- 三重県 空の移動革命


